「椿三十郎」・その1

椿三十郎」・その1




順番からいえば、『用心棒』の事を書いてから、

一応続編にあたるこの『椿三十郎』の事を書くのがいいのでしょうが、

私は、この映画が大好きなので、

先にこちらを書かせていただきます。


この映画は、ご覧になった方も多いと思います。

黒澤明がまさに脂の乗り切った時代の、

娯楽性、芸術性、教訓性全てを兼ね備えた名作です。

説教好きの黒澤明ですが、

この映画に出てくる説教は、

嫌味がなくて、私は大好きです。


「手前が馬鹿だと思われているのを気にしないだけでも大物だ。」

「人は、見かけによらない。」

「本当に悪い奴は、とんでもない所にいる。」

「あなたは鞘のない刀みたいな人・・・よく斬れます・・・

でも、本当にいい刀は鞘のなかに入っているもんですよ。」



あらすじは、例によってウィキペディアより。

真夜中の森の中。風に揺れる杉の木立の枝の間から朽ちた社殿が見え、格子の向こうに明かりがついている。中では若侍たち人目を避けるように集まり密談をしている。一人の若者が仲間に語りかける。「次席家老の汚職城代家老の睦田に告げたが意見書を破られ相手にされなかった」。失望の色を浮かべる青年たち。だが「大目付の菊井さまに話してみると『共に立とう』と答えてくれた」と続けると一転して場は喜びに沸く。この脳天気に気勢を上げる若者たちの前に、奥の部屋からアクビをしながら流れ者の浪人(三船敏郎)が現れる。謀議を聞かれたと緊張する一同に、どこ吹く風のこの男はニヤニヤしながら「岡目八目、菊井の方こそ危ない」と独りごちる。その予想通り、実は悪家老の仲間であった菊井の手勢に社殿が取り囲まれるも、この浪人の機転により若者たちは虎口を脱する。自分たちの甘さを後悔する一同だが、あくまで信念を曲げず命がけで巨悪にたち向かおうとする。

頭の固い若侍たちに一旦は匙を投げた浪人だが「死ぬも生きるも九人一緒だ」の悲壮な声を聞くと、思わず「十人だっ。お前たちのやることは危なくて見ちゃいられねえ」と怒鳴り、城下へ一緒に乗り込む。しかし、一枚上手の悪党たちはすでに藩政を掌握し、世論を味方につけてしまっていた。悪党一派との戦いの末に救出した城代家老の奥方と娘によると、ご本尊の城代は敵の人質になっているという。浪人と若者たちに助けてもらった睦田夫人はお礼を述べた上で、容赦なく人を斬るこの風来坊の心に人間同士が作る社会への希望が無いことをたしなめ、希望を持てば必ずよい結果になると優しく語りかける。眩しそうに目を逸らしていた男だが、改めて夫人から名前を聞かれると困った様子になり「私の名前ですか。…つばき、椿三十郎。いや、もうそろそろ四十郎ですが」と冗談とも本気ともつかない返事で空を見上げている。つられて奥方、娘、若者たちも外を見上げると屋敷の塀越しに真っ赤なツバキが咲いていた…。

例によって、スーパーマン三船敏郎が活躍する時代劇ですが、

そのスーパーマンが、

城代家老の奥方には、全く頭が上がらないのがユーモラスです。







危機を乗り切るために、奥方の踏み台になる三十郎。



この浮世離れした奥方の知恵が、

事態をいい方に導き、




敵の捕虜をいつの間にか味方にしてしまい、

最後には三十郎の命まで救うことになる。

「大賢は小愚に似たり」というモチーフをよく生かした、

いい脚本だと思います。

この奥方を演じた、入江たか子は、


若いころは、田中絹代を凌ぐスターだったらしく、

奥方の気品がうまくでていますね。


(この映画については、まだ書きたい事があるので、

今日はこの辺で。}