映画「英国王のスピーチ」

映画「英国王のスピーチ

2010年 イギリス
 

 
あらすじ ジョージ6 世(コリン・ファース)は、幼い頃から吃音というコンプレックスを抱えていたため、英国王ジョージ5世(マイケル・ガンボン)の次男という華々しい生い立ちでありながら、人前に出ることを嫌う内気な性格となり、いつも自分に自信が持てないでいた。厳格な父はそんな息子を許さず、様々な式典のスピーチを容赦なく命じる。ジョージは妻のエリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)に付き添われて、何人もの言語聴覚士を訪ねるが一向に改善しない。ある日、エリザベスはスピーチ矯正の専門家・ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)のもとへ夫を連れていく。ライオネルは、診察室では私たちは平等だと宣言、王太子を愛称で呼び、ヘビースモーカーのジョージに禁煙させる。さらに、大音量の音楽が流れるヘッドホンをつけ、シェイクスピアを朗読するという奇妙な実験を行うが、ジョージはこの治療は自分には合わないと告げ、足早に立ち去ってしまう。だがクリスマス放送のスピーチがまたしても失敗に終わったジョージは、ライオネルに渡された朗読の録音レコードを聞いて驚く。音楽で聞こえなかった自分の声が一度もつまることなく滑らかなのだ。再びライオネルを訪ねたジョージは、その日から彼の指導のもとユニークなレッスンに励むのだった。1936 年、ジョージ5世が亡くなり長男のエドワード8 世(ガイ・ピアース)が即位する。そんな中、かねてからアメリカ人で離婚暦のあるウォリス・シンプソンと交際していたエドワードが王位か恋かの選択を迫られる。彼は恋を選び、ジョージは望まぬ座に就くが、大切な王位継承評議会のスピーチで大失敗。だがジョージはライオネルの助けを借り、戴冠式のスピーチは成功に終わる。しかし、本当の王になるための真の試練はこれからだった。ヒトラーの率いるナチスドイツとの開戦直前、不安に揺れる国民は王の言葉を待ち望んでいた。王は国民の心をひとつにするため、世紀のスピーチに挑む……。
 
 
英米の映画賞を総なめにした映画でしたので、
かなり期待してみました。
私には、以前にも書きましたが、
神経症的傾向がありますので、
こういう悩みは人ごととは思えない。
ましてや、世界に君臨する大英帝国の君主となると、、
そのプレッシャーは大変なものだったでしょうね。
なんでも、障がいに悩んだり、アルコール中毒に侵されている役を演じると、
アカデミー賞をもらえるというジンクス(?)があるようですが、
この映画でアカデミー主演男優賞に輝いたコリン・ファースの演技は見事でした。
(ホモのおっさんの役とは大違い!)
内気だけれど、根は誠実な(だったらしい)、
ジョージ6世の人柄がよく出ていたと思います。
それと、奥さん(というよりエリザベス妃と呼ぶべきか?)を演じた
ヘレナ・ボナム=カーターのチャーミングなこと
子供時代のエリザベス2世の可愛らしいこと
細かい歴史描写は、かなり史実と違うそうですが、
この際、そんなことはどうでもいいでしょう。
ただ、チャーチルを変な役者(ティモシー・スポール)が演じていたのは
ちょっと違和感を感じました。

 

 
 
 
 
 
吃音に悩んだ有名人と言えば、
古代ギリシアの雄弁家デモステネスが、よく心理学の本に出てまいります。
 
これまで、多くの人びとが何らかのハンディキャップを持ちながら、それを克服して逆に長所としてきたことは、歴史が詳細に記録していることである。古代ギリシャの最高の雄弁家として知られるデモステネスも、その好例である。デモステネスは「吃音(きつおん)」があまりにもひどかったために、公開討論の末、遺産を引き継ぐことができなかった。しかし、やがてデモステネスは吃音を完璧に克服し、アドレー・スティーブンスンに次のように言わせるほどの雄弁家になった。
キケロが演説を終えたとき、人びとは『彼はなんて話がうまいんだろう!』と言った。デモステネスが演説を終えたとき、人びとは『さあ、一緒に行動しよう!』と言った」
 
(↑以上、ネットよりパクりました。)
 
ジョージ6 世は、デモステネスのように雄弁家にはなれませんでしたが、
第二次世界大戦の時にドイツの攻撃を受ける英国民を鼓舞し続け、
「善良王」と慕われたそうです。
思うに民主主義が浸透しつつあった20世紀においては、
恐怖や威嚇で国を治める君主より、
こういう内気な国王の方が、
皆に親近感を感じさせて支持を得られたのかもしれません。
セールスマンの世界でも、営業成績のいい人は案外口下手な人が多いそうです。
そのほうが、却ってお客さんに信頼されるんだそうです。
 
と、私には珍しく悪口の少ない映画感想文でしたが、
映画そのものの出来は、それほど出色だとは思えませんでした。
歴史に残るような名作とは言えないと思う。
歴史的事実をなぞっているだけで、明確なメッセージは伝わってきません。
それは、もしかして私がそれほど英国王室に関心がないからかもしれません。
もっと、イギリスの歴史に詳しい人が観たらもっと楽しめたのかもしれません。
ということで、私の評価は。。。