今頃、映画「海よりもまだ深く」を鑑賞する!
今頃、映画「海よりもまだ深く」を鑑賞する!
2016年 日本
この監督の作品は、「そして父になる」(2013年)「海街diary」(2015年)「万引き家族」(2018年)しか観ていませんが、これらの作品を見た限りは、「だらしない父」「弱い父」との葛藤がその主題となっているように思いました。
「だらしない父」「弱い父」というのは、江藤淳の指摘を待つまでもなく、近代日本の小説や映画の主題に度々なっております。戦前までは、小説家という生き物は女房子供を泣かせて一人前という風潮があって、太宰治なんかは、それに居直って生きておりました。溝口健二や、成瀬巳喜男の映画にも、しばしば生活力のない男性が登場致します。
河合隼雄らの心理学者が言うには、もともと日本
には、キリスト教的な意味での「強い父親」は存在しない、発明していないとのことですが、それにしても、「芸術の為なら、家族を顧みないのは当たり前」という考え方は、私たち以降の世代からしたらついていけないモノがありますね。勝新太郎の生前の借金を返し続ける中村玉緒の姿は、美しいとは思えない。村上春樹の小説が、大衆的な人気(特に女性から)があるのは、そう言う近代日本の男性像へのアンチテーゼを示したからでしょう。
には、キリスト教的な意味での「強い父親」は存在しない、発明していないとのことですが、それにしても、「芸術の為なら、家族を顧みないのは当たり前」という考え方は、私たち以降の世代からしたらついていけないモノがありますね。勝新太郎の生前の借金を返し続ける中村玉緒の姿は、美しいとは思えない。村上春樹の小説が、大衆的な人気(特に女性から)があるのは、そう言う近代日本の男性像へのアンチテーゼを示したからでしょう。
是枝裕和監督の作品も、「だらしない父親からの脱却」を目指しているように私は感じました。(「万引き家族」はちょっと違いますが。)高等教育を受けた現代の女性は、「大人になれない」男性の母親役をさせられることに、ウンザリしたんでしょうか?