「影武者」という失敗作・その1
一時は、もう過去の人として扱われていた黒澤明氏が、
ソ連にまねかれて作った『デルス ウザーラ』(1975年)によって復活し、
(この事は、また後に、書きます。)
クロサワ健在をアピールした訳ですが、
次回作として構想した時代劇『影武者』は、
例によって、製作費がかかり過ぎるので、
映画会社はその製作に、二の足を踏みました。
そこに、助け舟を出したのが、
当時、映画界に君臨していた二人は、
二人とも、黒澤の弟子を自任し、
至る所に、黒澤作品の影響が見てとれますし、
『ゴッドファーザー』の冒頭の結婚式のシーンは、
『悪い奴ほどよく眠る』(1960年)の借用だそうです。
この二人が、外国版プロデューサーに名を連ねた事によって、
海外の権威に弱い日本人の特性か、
一挙に、映画化に向かって、話は進みました。
映画製作前の黒澤氏の絵コンテを見ると、明らかに勝新太郎瓜二つですし、
重厚な武田信玄と、こそ泥棒の影武者をコミカルに演じるのには、
まさに勝新太郎が適役だと言えましょう。
しかし、
我儘な二人は、コンビを組めませんでした。 |
当初主演だった勝新太郎は撮影開始後に黒澤と衝突し、降板した。直接の原因は、勝が自分の演技をビデオカメラで撮影し、役作りの参考にしようとしたことである。これについて黒澤は「監督は二人いらない」との言葉を残した。。。
山城新伍が語った所によれば、当初は勝が武田信玄と影武者を、勝の実兄の若山富三郎が信玄の弟信廉役を演じる案があったという(実際の兄弟関係を逆転させた配役)。だが、若山は勝と黒澤のトラブルを予期し、それに巻き込まれることを嫌って出演依頼を断ったため、実現には至らなかった。(Wikipediaより)
かくて、私の大嫌いな俳優、仲代達矢の登場と、相成ったわけであります。。。
つづく |