「隠し砦の三悪人」


監督 黒澤明
製作 藤本真澄
黒澤明
脚本 菊島隆三
小国英雄
橋本忍
黒澤明
出演者 三船敏郎
千秋実
藤原釜足
藤田進
志村喬
上原美佐
音楽 佐藤勝
撮影 山崎市雄
編集 黒澤明
配給 東宝
公開 1958年12月28日




あらすじ

戦国時代のある地方、山名家と秋月家が戦い、秋月家が敗れた。百姓の太平と又七は、一攫千金を夢見て戦に参加したが、何も出来ず全てを失って途方に暮れていた。
秋月家の武将・真壁六郎太は、秋月の雪姫を擁して、山中の泉に隠した、お家再興のための軍資金の黄金と共に、隠し砦にこもった。
太平と又七が、偶然に砦近くの沢に流れ出した軍資金の黄金の一部を発見する。
しかし、六郎太にみつかり問い詰められた時、彼らが苦し紛れに口にした方法で事態は急展開。
六郎太は、二人の欲に付け入って黄金を背負わせ、雪姫の身を守りながらも敵地である山名領を通って、友好国の早川領へ抜ける作戦を決意。
途中、男まさりの勝気な気性の雪姫の機嫌を損ねることなく、不平不満を言い逃亡も図る二人を脅しすかし、山名領との国境の関所を通過。
だが六郎太の前に、山名の侍大将でかつての盟友・田所兵衛が立ちふさがった。(Wikipediaより)



黒澤明氏の考え方を、男尊女卑と思われる方は、

この映画を見ると、考え方を変えるでしょう。

おそらく皆さん、ご存知のように、

『スター ウォーズ』のレイア姫のモデルとなったと言われる、

気の強い雪姫の魅力が、この映画の全編の魅力となっています。






雪姫を演じた上原美佐は、この映画のためのオーディションで選ばれた、

ずぶの素人ですが、

『影武者』の場合とは違って、素人くさいセリフの棒読みが、

返っていい効果を出しています。

黒澤氏は、どうも、こういった運命に立ち向かう女性が、お好きなようですね。

同じく、百姓の太平と又七は、R2-D2C-3POのモデルとなりました。






おそらく、日本映画最大級の脚本家たちが総結集して作った物語は、

息をつく間もなく面白く、

やはり、晩年の黒沢映画が面白くないのは、

こういった脚本家たちが、いなくなってしまった事が第一の原因だと思われます。

物語の重要なカギを握る「火まつりの歌」、

人の命は、火と燃やせ
虫の命は、火に捨てよ
思い思えば闇の夜や
浮世は夢よただ狂え

この歌を、辞世の歌として歌う雪姫の姿に心打たれた田所兵衛は、

最後の最後に、山名家を裏切ります。(ネタばれ、ごめんなさい。)




裏切り、御免!


これは、『スター ウォーズ』エピソード6で、

最後の最後にダースベーダーが、皇帝を裏切るシーンを思い起こさせます。

この田所兵衛を演じた藤田進が、

黒沢映画エピソード1に当たる『姿三四郎』の主役であった事を考えると、

いかに、『スター ウォーズ』が、黒沢映画に負うているかが、よくわかります。

まさに、私たちが黒沢映画に求めてやまない(やまなかった)のは、

こういった活劇の面白さであり、

この映画は、その期待に十分応えてくれています。


最近、リメイク版が作られたそうですが、

見る気もしないので、知りません。<m(__)m>