「生きる」

「生きる」


監督 黒澤明
製作 本木莊二郎
脚本 黒澤明
橋本忍
小国英雄
出演者 志村喬
金子信雄
関京子
音楽 早坂文雄
撮影 中井朝一
編集 岩下広一
配給 東宝
公開 1952年10月9日


黒澤コーナーが、あまりに人気がないので、

本来なら、最後の方に取っておくべき稀代の名作「生きる」を、取り上げたいと思います。

まずは、ご存じない方は、予告編をご覧ください。


日本映画のベスト10を選ぶと、

大抵、この「生きる」か、小津安二郎の「東京物語」、もしくは同じく黒澤明の「七人の侍」が、

エントリー致します。

Wikipediaによると、「数ある黒澤明監督作品の中でも、

そのヒューマニズムが頂点に達した作品と評価される名作。」だそうです。

海外でも評価が高く、トム・ハンクス主演で、リメイクの噂も、2000年代前半にありました。


この映画が作られる直前に、黒澤氏は、『羅生門』(1950年)で、ベネチア映画祭金獅子賞を受賞しました。

今でこそ、日本映画が海外で賞を受賞するのは珍しくはありませんが、

当時は、イタリアでは、日本に映画があると言う事を知らなかった人も大勢いた時代で、

敗戦で自信を失った日本人は、このニュースに小躍りしました。

完成時に、世間の評価もぱっとせず、大映永田雅一社長は「この映画はわけがわからん」と批判していたが、ヴェネチアに出品されグランプリをとると、永田は一転して自分の手柄のように語った。後年、黒澤はこのことを自伝『蝦蟇の油』の中で、まるで『羅生門』の映画そのものだと書いている。
Wikipediaより)

小役人が、命懸けで作った公園の手柄を、役所の上司に横取りされるこの映画のエピソードのルーツは、

こういう体験からきているのかもしれません。

この映画を、お役所の形式主義への批判と取る見方もあるそうですが、

物作りで、世界に冠たる経済大国を作り上げた戦後日本人のルーツだと言えない事もないでしょう。


しかし、へそ曲りの猫さんは、例によって、いちゃもんをつけます。

第一の疑問

志村喬の演技が、大袈裟過ぎないか?

仲代達矢みたいだ!)


第二の疑問

大体、癌で余命幾許もない人間が、これだけ元気に動き回れるのか?