「影の現象学」を読みながら

「影の現象学」を読みながら


私は、自分の仕事の事は、あまり触れないできましたが、
今、職場で大変困っている問題があります。
 
同僚のAさんは、とても仕事熱心で、やる気満々、
仕事に関する知識も豊富で、ある意味申し分のない人なのですが、
どういう訳だか自信過剰で、
その上、他の同僚の中の2人を「仕事をさぼっている。仕事ができていない。」と毎日集中攻撃するのが欠点です。
まるで、姑が嫁を虐めるように、2人の一挙一動にケチをつける。
しかし、私達第三者が見ると、その2人が仕事をさぼっているようには思えません。
(ちなみに、Aさんも攻撃される2人も男性です。)
私も間に入ってのしばしばの言い争いや、上司の忠告がありましたが、
Aさん本人の態度には、一向に改善の兆しは見られません。
 
私は、
「これはAさんユング心理学でいうところの「影」をこの2人に投影しているのだろう。」と思いました。

そこで、まだ未読であった河合隼雄
「影の現象学をネットで注文して、
読んでみることにいたしました。
(こんな事、本を読んでも解決するものではありませんが。)
ここでいう「影」とは、単純に言えば,
本人が気が付きたくない自分のある性格の部分を指します。
つまり、自信家のAさんは、自分の気が付かない仕事上の自分の欠点を2人に投影しているというのが、私の解釈です。
実は、Aさん、知識は豊富ですが、仕事のミスはよくするんです。
こういう投影の例としては、有名なナチスドイツをはじめとする欧米人のユダヤ人迫害を思い浮かべていただければわかりやすいと思います。「お金に汚くて、ずる賢いユダヤ人」と言うイメージは、まさにヨーロッパ人の「影」そのものです。
 

黒人の俳優が声を演じた残忍なダース・ベーダーも、白人文明の「影」でしょうね。
あるいは人間の差別意識のすべては「影の投影」で説明できるのかもしれません。
 
それにしても、投影された2人は、たまったものではないのは確かです。
「影の現象学は、まだ途中までしか読んでいませんが、この本の提示する解決策としては、当人が相手に抱いている差別意識を自分の影だと自覚し「影の引き戻し」をすればいいのですが、事はそう簡単ではありません。
大体、本人が気が付きたくないからこそ「影」を形成しているのですから。
 
当分、頭の痛い日々が続きます。

 ※追記:当然、私自身も人格を持っている以上、「影」を持っているわけです。
今回は、自分ことを棚に上げて書かせていただきました。