「静かなる決闘」

静かなる決闘

(1949年)

 
あらすじ
主人公の藤崎(三船敏郎)は戦時中の野戦病院で患者(植村謙二郎)を手術中に、誤って自分の指に怪我をし患者の梅毒に感染してしまう。
戦後になり父親(志村喬)の病院で働くことになった藤崎は、梅毒の感染を隠し、婚約者の美佐緒(三條美紀)結婚することが出来ずにいる。美佐緒は藤崎が自分に対して距離を置き、何時までも親しくなれないことに苦悩していた。
ある日、藤崎が自分の病気の秘密を父親に告白しているところを、見習い看護師の峰岸るい(千石規子)に立ち聞きされてしまう。峰岸は元ダンサーで暗い過去を持ち、藤崎の日頃の誠実な行動と発言に反感を抱いていた。その後も藤崎は己の病と闘いながら、訪れる患者に対しては黙々と治療を続けていく。一方、秘密を聞いたことで藤崎に対するわだかまりが解けた峰岸は、人間的に少しずつ成長していくのであった。(wikiより)

黒澤明監督、三船敏郎主演、静かなる決闘とくれば、
やくざの抗争を描いたサイレントムービーかと
思われる方もおるやもしれませんが、(笑)
これは、梅毒の恐怖を描いた極めてストイックな秀作でした。
言うまでもなく、「静かなる決闘」とは、
一人の人間の内面の闘いを表しているんですよね。
最初は、三船が梅毒で発狂する結末だったそうですが、
科学的ではないと医者から指摘されて変更したそうです。
ですから、科学的に見たら疑問符が付く作品なのかもしれませんが、
黒澤氏の全作品に流れる性的潔癖主義がよく表れていると思います。
 
私は「隠れた名作」を発見したと喜んでいましたが、
調べてみると二人の黒澤マニアの評論家の
黒澤映画ベスト10の上位にそれぞれランクされていました。
私が知らなかっただけなようです。
それにしても、
黒澤作品の中で男の性欲
をここまで真正面に描いたのは、
これだけじゃないのでしょかね?

オビ・ワン・ケノービ
も、
こういうことで悩んだのでしょうか?(笑)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
いつも、演技が大袈裟だと日本の俳優を批判する猫さん 
ですが、
三船敏郎が演じると何故か自然に見えるから不思議です。
荒くれ者を演じる事の多い三船ですが、
こういう医者の役をすると、凄い男前だというのがよくわかります。
 

 

それと、千石規子の演技が素晴らしい。
ネットで調べてみると、
TVを見ない私が知らないだけで、
今でも現役で活躍なされている
有名な女優さんらしいです.。
若いころの黒澤氏はこういった少し落ちこぼれの庶民を描くのがとても上手かったような気がします。
 
 
ともかく、この映画はお勧めです。


(特に男性の方には。)