映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」

映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク


 
(2000年 デンマーク映画
 
あらすじ 60年代のアメリカ。セルマは女手ひとつで息子のジーンを育てながら工場で働いている。彼女に対して理解と愛情を持つ人々に囲まれ満ち足りた生活を送っていた。ただ一つを除いて。彼女は遺伝性の病のため視力が失われつつあり、ジーンも手術を受けない限り同じ運命を辿ってしまうのだった。そのために、内職もしてジーンの手術費用を貯えていた。が、ある日工場を解雇されてしまい、貯めていたお金まで盗まれていた……。
 
この映画、何の予備知識もなしに観ました。
大体、デンマーク映画だという事も知らなかったし、
ビョークという有名な(らしい)ミュージシャンのことも知らない。
この映画がカンヌ映画祭パルム・ドール最優秀女優賞を獲得した事は、
観た後で知りました。
でも、「感動の大作」を期待してはいけません。
これからこの映画を観ようとする人に警告しておきます。
最近気分が落ち込んでいる方や、
過去に鬱病を患わった事のある方は絶対観ないでください
私は、途中で観るのをやめようと何度か思ったほどです。
英エンパイア誌によれば、以前私が酷評した「火垂るの墓」(1988年)と並んで、
この映画が「落ち込む映画」ランキング7位に選ばれているそうです。
 

カトリーヌ・ドヌーヴは好演していましたが。。。
 
とにかく、これほど救いのないお話もない。
で、つらいつらい女主人公の夢想シーンとして、
彼女の大好きなミュージカルシーンが出てくるわけで、
アメリカのかつてのノー天気なミュージカル映画を期待して、
この映画を観ると、2,3日寝込んでしまうでしょう。
手持ち主体のカメラワークやジャンプカットの多用によるスピーディーな画面展開、
主人公の空想のシーンを明るい色調のミュージカル仕立てにした新奇な構成(Wiki)は大変印象的でした。
彼女は決して孤立しているわけではなく、
たくさんの人々の優しい愛情に見守られている訳で、
そういう状況に追い込まれたのは、
彼女がいささか強情だったと言えなくもありません。
なんでも、お金で解決してしまうアメリカ社会を批判したかったのでしょうか?
アメリカ人が観たらあまりいい気持ちはしない映画でしょうね。
ストーリーが暗すぎると批判する人も多いみたいです。
それにもかかわらず、ビョークという方の歌は素敵でした。
 
↑心臓の悪い方は観ないように。
 
つらく悲しい現実があるからこそ、音楽は美しくなるのでしょうか?
そこが火垂るの墓とは違う所でした。
なんだかんだ言って、ラストシーンでは泣いてしまいました。

(映画でよく泣くオッサンですね。)
 
いい映画であることには、違いありません。。。