映画「息もできない」を鑑賞する!

映画「息もできない」を鑑賞する!

2008年韓国
 
 

 
 
あらすじ:キム・サンフンは子供の頃のある出来事により、総てのものを愚弄する破滅型の男として育った。彼は友人マンシクと始めた暴力取り立て屋として日々を送る。そんなサンフンがある日、女子高生(ヨニ)と出会い、口論をきっかけにお互い不思議な感情を抱き育むようになっていく。ふたりは唾棄すべき父を持ち、母を幼くして失っている似た者同士だったのだ。サンフンはヨニに酒を奢り、ヨニもサンフンの姉や甥のヒョンインと友情を結んだ。だんだんにヨニによって秘めていた優しさを引き出されてゆくサンフンだったが、ヨニの弟であるヨンジェが弟分になったことで、その運命を大きく歪まされてゆくのだった。
 
 
 
複数の信頼できるブロ友さんが絶賛していたし、
2010年キネマ旬報 外国映画ベスト・テン第1位の選ばれたぐらいですから、
この映画は大変期待して観ました。
なんと言っても、私にとって初めての韓国映画ですからね。
話が我田引水になってしまいますが、
欧米において初めて黒澤明の映画「羅生門」が公開されたとき、
日本に映画があることも知らない人が大勢だった観客は、
その映画の芸術的完成度の高さに感嘆の声を上げたそうです。
同じような経験を、初めての韓国映画で味わえると期待したのですが。。。
 

 
 
 
確かに、社会風俗はよく描かれていると思います。
韓国社会の底辺で生きる人々の生態を描いて余すところがない。
その過激な暴力描写と卑語北野映画と比較する方もおられたようですが、
こちらの方が、より現実的で迫力があるでしょう。
ただ、(韓国のアンダーグラウンドの世界を知らないで書くのですが、)
こういう世界って、ボスはこんなに良心的なんでしょうか

一度踏み入れたやくざの世界を、
こんなに簡単に抜け出せるものなんでしょうか

やくざでさえ、
両親や年上の人を非常に尊敬する韓国人の国民性が顕著に表れたお話でしたが、
普通は、子供の時から不幸な家庭で育った「チンピラ」キム・サンフン)は
もっと深いところで人間がすさんでいるものだと思う。
たかが女子高生との出会いで、
ここまで幼児期のトラウマが解放されていくとは思えません。
不幸な家庭環境に育った人でも、
その運命を乗り越えていく人は韓国でもたくさんいるはずです。
ですから、彼らが「チンピラ」になったのは、
本人の性格による部分も大きいのではないのでしょうか?
ハリウッド仕込みの、
もっと残酷なやくざの世界の映画を観なれている人間としては、
なにか甘いお話のような気がいたしました。
この映画に込められた、社会的メッセージはよくわかるんですけれど。。。
.(こういう話でないと、万人の共感は得られないのでしょうね。)



 
そうは言うもの、俳優さんたちの演技のレベルは大変高いと思いましたので、
海外でも韓流が隆盛を極めているのは納得できました。

もっと他に、韓国映画で面白いのがありましたら、教えてくださいませ。