チョイスする人生

チョイスする人生


 
 
 
所謂「日本人論」の中でも、極めて有名で、
今でも読み継がれている著作に、
精神科医土居健郎「甘えの構造」があります。
この本の冒頭に、興味深い論考がありますので、
少し長くなりますが、引用させてもらいます。
 
アメリカ人の家庭に食事に呼ばれると、まず主人が酒かソフトドリンクいずれを飲むかとたずねてくる。そこで、酒と所望したとすると、、次にはスコッチかブルボンかときいてくる。そのどちらかに決めた後、今度はそれをどうやってどのくらい飲むかについても指示しなければならない。さいわい主なご馳走は出されたものを食べればよいのだが、それがすむと今度はコーヒーか紅茶かをきめねばならないし、それも砂糖を入れるのか、ミルクをどうするのか一々希望を述べねばならない。私はこれがアメリカ人の丁重なもてなし方であることはすぐにわかった。しかし、内心ではどうだっていいじゃないかという気がしきりにした。アメリカ人はなんと小さな事でも、いちいち選択しなければならないのか、あたかもそうすることによって自分が自由であることを確かめでもするように、こんな風に私は考えた。。。
土居健郎著「甘えの構造」 弘文堂より)
 
 
 
何故、こういう文章を書き写したかと申しますと、
昨日の衆議院選挙の結果などを見ておりますと、
やはり、日本では
アメリカ型の二大政党制は根付きそうにない気配を感じるからであります。
私は、これがとても残念なのです。
何も民主党の味方をするつもりはさらさらないんですが、
長く続いた自民党支配の政治が覆ったことは大変有意義だった。
民主党政権で、日本がさらにひどくなったことは否めませんし、
その反動が、今回の自民党大勝につながったんでしょうが、
民主主義と言うものは、本来高くつくものなんです。
中国北朝鮮に生まれていたら、
自分たちで権力者の政権交代させることなんて絶対できないでしょう
選挙で権力者を交代させたこと自体、
実に素晴らしい事だったと思う。
 

そういう意味で、
前回の政権交代の仕掛け人であった
小沢一郎さん
は、
もっと評価されてしかるべきじゃないのでしょうか
政治家の言葉を
額面通りに受け取るわけにはいきませんが、
「日本人が、自分で考えて行動する習慣をつけるためには二大政党制が必要。」
と彼は言っていましたし、
私もまさにそうだと思います。
 
 
 
 
 
でも、やっぱり水戸黄門が好きな民族なんですね。
誰かに身を任せて、自分の運命を決めてもらいたい。
「寄らば大樹の陰。」
「長いものには巻かれろ。」
自民党が政権を握った方が、多分日本はよくなるんでしょうが、
私は残念な気が致しました。