福祉とモラルハザード(和製英語)

福祉とモラルハザード和製英語


 
 
一時、生活保護の不正受給が大変社会問題になって、
真面目に働いている「庶民」の怒りの声が巷に木霊しておりましたが、
碩学中根千枝女史、阿部謹也先生が指摘されるように、
もともと日本人は、福祉に冷淡な民族だという事は確かなようですね。
これは、昔から社会が流動的で、働き者の中産階級が多いので、
「弱者」=「怠け者」となりがちなことに由来していると私は思います。
どんな人間でも、努力すればできるという考え方が強い。
 
一方、インドなんかのカースト制度の強い社会では、
最下層の人間はどんなに努力しても、
おそらく一生這い上がれないだろうから、
そういう社会では、弱者救済としての宗教が発達する。
貧富の差の極めて著しいアメリ社会
においても、
それを補償する形で、キリスト教原理主義などが繁栄する。
 
それでは、「弱者」=「善人」と言う価値観が社会を支配するとどうなるか?
20世紀の歴史が証明した一番大事なことは、
ソ連社会主義中国文化大革命の大失敗にみられるように、
結果が平等だと誰も働かないという事でしょう。
働いた人間でも、働かない人間でも報酬が同じだと、
誰も頑張って働かなくなる。
詳しい事はかけませんが、身近にそういう例があるので、
悪平等は決していいものではないと痛感いたします。

 

 
 
黒澤明の映画七人の侍が世界中の人を感動させるのは、
「哀れな百姓たち」に自分たちで戦う事の重要性を自覚させる物語だからで、
「自助の精神」を忘れてはいけないというありきたりなことを思いださせます。
 
「天は自ら助くるものを助く。」
 
それでも、自分の力ではどうしようもない人には救いの手を差し伸べる。
そういうシステムが巧く機能すればいいんですけどね。
生活保護の不正受給が後を絶たない一方で、
この豊かな国で餓死者がでる。
こういった矛盾は、何とかならないものでしょうか?