映画「流れる」を鑑賞する!(成瀬巳喜男作品)
映画「流れる」を鑑賞する!(成瀬巳喜男作品)
1956年 日本
花柳界を舞台にしているので当たり前でしょうけれど、
(こういう処に、成瀬巳喜男の作家性があるんでしょうか?)
こんな芸達者な美女たちが、芸を競うのだから、
見ごたえがないはずがありません。
なかでも、酒に酔った杉村春子の名演技には鳥肌が立ちました。
完全に、山田五十鈴を食っていたと思う。
田中絹代さんが
女中になって一種の狂言回しを演ずるんですが、
今の若い人たちには、「女中」と言ってもピンと来ないかもしれませんね。
(それにしても、何でこの方は、こういう卑屈な役ばかりするんだろう。(笑))
美しいというだけでなくて、見事な演技もできるのが、
現代のセクシー女優と違う処でしょう。
思うに、昔はちゃんと見習うべき先輩がいて、
最初は可愛いだけのスターも演技の勉強をしながら成長していったのでしょうね。
近頃の、泣いたり、喚いたり、絶叫したりしたら名演技だと思っている
若いタレントさんたちには、
是非、溝口、成瀬あたりの作品を観て、勉強してもらいたいところであります。
溝口健二自身が、成瀬作品を評して「キン○マがない」と言ったそうですが、
ドラマとしては、カタルシスには欠けますが、
美女の競演としては、申し分のない出来でした。