映画「流れる」を鑑賞する!(成瀬巳喜男作品)

映画「流れる」を鑑賞する!(成瀬巳喜男作品)


 
1956年 日本
 
これは、女性フェロモンむんむん

の、とても艶っぽい映画でした。
花柳界を舞台にしているので当たり前でしょうけれど、
ともかく、出てくるスターが凄い
田中絹代山田五十鈴粟島すみ子(←この人の事は良く知らない)杉村春子
殆ど、女性しか出てこない映画で、少し出てくる男性は、ダメ男ばかり。
(こういう処に、成瀬巳喜男の作家性があるんでしょうか?)
こんな芸達者な美女たちが、芸を競うのだから、
見ごたえがないはずがありません。
 

 
なかでも、酒に酔った杉村春子の名演技には鳥肌が立ちました。
完全に、山田五十鈴を食っていたと思う。
 

 
 
 
田中絹代さんが
女中になって一種の狂言回しを演ずるんですが
今の若い人たちには、「女中」と言ってもピンと来ないかもしれませんね。
(それにしても、何でこの方は、こういう卑屈な役ばかりするんだろう。(笑))

 

 
 
高峰秀子岡田茉莉子の、女盛りのセクシーには、胸がときめきました。
美しいというだけでなくて、見事な演技もできるのが、
現代のセクシー女優と違う処でしょう。
思うに、昔はちゃんと見習うべき先輩がいて、
最初は可愛いだけのスターも演技の勉強をしながら成長していったのでしょうね。
 

 
 
近頃の、泣いたり、喚いたり、絶叫したりしたら名演技だと思っている
若いタレントさんたちには、
是非、溝口成瀬あたりの作品を観て、勉強してもらいたいところであります。
溝口健二花柳界の映画をよく撮った監督でしたが、、
溝口作品は、あくまで
の視点
から観ていたように私には思います
それに比較して、成瀬作品
の視点
溝口健二自身が、成瀬作品を評して「キン○マがない」と言ったそうですが、
そういう処が、むしろ成瀬巳喜男の真骨頂なのでしょう。
 
ドラマとしては、カタルシスには欠けますが、
美女の競演としては、申し分のない出来でした。





 
※あらすじを知りたい人は、ネットで調べてくだされ。