映画「喜びも悲しみも幾年月」を鑑賞する。。。

映画「喜びも悲しみも幾年月」を鑑賞する。。。


 
1957年 日本
 
木下恵介の映画は、殆ど観たことがないはずなんですが、
子供のころ、TVで木下恵介アワー」と言うドラマ番組シリーズがあって、
それを少し観た記憶があります。
勝手な先入観で、
「善人ばかり出てくる道徳的な大衆受けするお話」を作る人だと
思っていたんですが、
この映画を観て、その先入観が当たっていることを発見しました。(笑)
例によって、wikiを丸写しいたします。

黒澤明とは、監督デビューした年が同じで、1960年代まで日本映画の両雄と見なされていた。国内での評価はむしろ黒澤を上回ることが多かったが、海外での受賞が少ないことや、基本的に日常派で華々しい話題性や刺激に乏しい作品が多いこと、 戦中は旧日本軍の求めに応じ、戦後はアメリカの要求に沿った作品を作るなど節操の無い活動、そして時代に迎合し過ぎた作風、などにより晩年は急速に忘れられ、21世紀の現在では世間一般の話題にのぼることは皆無な状態となっている。
 
確かに、木下恵介が死去した時の新聞報道等は、
クロサワのそれと比較しても、あまりに小さかったですね。
(同じ1998年に他界されました。)
 

 
 
今回のこの作品を観ても、
主人公である夫婦の描き方が凡庸で、
人間描写の深さに私は物足らないものを感じました。
灯台守」と言う職業は、大変過酷なものであることは推察いたします。
高度経済成長以前の
全国津々浦々の美しい海岸風景がカラーで堪能できるだけでも、
この映画は観て損はないと思います。
しかし、灯台守であれ、小料理屋を経営するのであれ、内閣総理大臣であれ、
仕事をして生活していく以上は、
どんな職業でも人に言えない苦労が伴うのは当たり前のことで、
この夫婦の固い絆を描くのになにも灯台守である必然性は感じられません。
WANTEDさんがよく批判されるように、
物語の推移、時代の移り変わりを字幕によって説明するという手法は、
私も、映画としては、あんまり私は好きではありません。
戦後作られたあまたの映画と同様に、
第二次世界大戦の最中に、
奥さん(高峰秀子)がこの戦争に批判的な意見を述べるのには、
少々シラケてしまいました。
 
※過去の故人の作品を、この様に批判すると、異議を唱える方が必ずおられます。
礼儀として、故人の古い作品は褒めておく習慣に反していると言いたいように。
しかし、私は木下恵介の人格を非難しているのではありません。
作品を批判しているのです。(批評しているつもり^^)
そこの処は、ご理解いただきたいと思います。

 

 
最近、高峰秀子の出演した作品ばかり興味があるので、
この映画もその一環として鑑賞したのですが、
余りに優等生過ぎて、
彼女のもつちょっと小悪魔的
な魅力などは全く感じられませんでした。
 
時代は、作品を淘汰いたします。
この映画は、歴史に残る名作とは言い難いと私は思いました。