今頃、映画「恋に落ちたシェイクスピア」を鑑賞する!

今頃、映画「恋に落ちたシェイクスピア」を鑑賞する!

1998年 アメリ



やれ、松尾芭蕉が実は忍者だったとか、東洲斎写楽の正体は○○だったとか、
その手のお話を聞くと、私は馬鹿馬鹿しくなってシラケてしまうのであります。
歴史的資料が残っていないと、なんとでも言えるじゃないか?
ウィリアム・シェイクスピア(1564~1616)に関しても、
伝記的資料が少ないらしくて、
その戯曲は哲学者フランシス・ベーコンが書いたんだとかいう説もありますよね。




この映画は、戯曲ロミオとジュリエットをベースにした、
若かりしシェイクスピア自身の恋の物語
であります。
おそらく、彼の戯曲のセリフを空で言えるような人が鑑賞すれば、
ニンマリするような処が沢山あるんでしょう。
エリザベス1世時代の風俗などは、完全に再現されているのだろうし、
愛する二人の恋の進行と、
劇中劇ロミオとジュリエットとの絡ませ方もうまいと思う。




ただ、例によってひねくれ者
の私は、
どうも、現代の視点から歴史を見すぎているのではないか
と疑問を感じました。
商人上がりだとはいえ、
当時のお金持ちのご令嬢が「河原乞食」に恋をするとは思えないし、
あの時代の芝居小屋に、エリザベス1世が直々に芝居を鑑賞しに来るはずがない。

以前読んだ本によると、
シェイクスピアが今ほど演劇の神様のように評価されるようになったのは、
むしろ近代に入ってからで、
18世紀ぐらいのヨーロッパでは、
フランス
ジャン・ラシーヌ(1639~1699)
の方が
断然評価が高かったのだそうな。




だから、この映画は、細かい歴史的事実を詮索せずに、
一組の若いカップルの恋の物語
として観た方が楽しめるはずです。
イチローシェイクスピアの生まれ変わりだったんだ!とかね(笑)














相変らず、憎まれ口が多い感想文ですが、
素直に観れば、幸福になるような気持ちのいい映画でした。