今頃、映画「大いなる幻影」を鑑賞する!

今頃、映画「大いなる幻影」を鑑賞する!

1937年 フランス




あらすじ:第一次世界大戦の欧州戦線、ドイツ軍の捕虜となったフランス軍人、労働者のマレシャル中尉と貴族のド・ボアルデュー大尉は、ドイツ軍人ラウフェンシュタイン大尉や捕虜仲間でユダヤ人銀行家のローゼンタールなどと交流を深める。やがて祖国のために脱出を繰り返し、ボアルデューはラウフェンシュタインによって射殺され、マルシャルはローゼンタールとともにドイツ国内を逃げ回る。・・・その中で、民族とは、階級とは、戦争の悲惨さ、国家とは、などのさまざまなテーマが浮かび上がる。。。(Wikiより)

これは、とてもよくできた反戦映画でした。今でこそ、「戦争反対!」と声高に叫ぶのは容易い事ですが、この時代にこれだけの厭戦思想を貫いた作品を作るのは、勇気が要ったことだったでしょう。(日本では、戦前は上映禁止。)戦闘シーンは殆ど出てまいりませんが、Wikiのあらすじであるように、民族、階級、ユダヤ人差別など多くの問題をこの映画は内包しています。タイトルの大いなる幻影とは、戦争のない社会を指すんですね。




敵側のドイツ
の将校が、同じ貴族の出身だからと言って捕虜のフランス大尉
を特別扱いする。こういうメンタリティは、縦社会の住人である私たちにとっては理解しにくい部分でしょうが、全体的に言ってドイツにおける捕虜の扱いがあまりに紳士的なのには、驚きました。こんな呑気な捕虜生活ならば、私も1年ぐらい送ってみたい。(笑)このあたりは、第二次世界大戦時の日本軍
における捕虜虐待を描いた「戦場にかける橋」(1957年)だとか、戦場のメリークリスマス(1983年)だとかとは対照的ですね。
というより、まだこの映画で描かれる第一次世界大戦の時代の方が、まだ万事において牧歌的だったと言えるのではないのでしょうか
この映画が作られた1937年から数年後に始まった戦争のあまりの悲惨さを知る人間にとっては、ちょっと生ぬるいお話だともいえるかもしれません。

最近のイスラムにおける捕虜の処刑を見るまでもなく、最近の戦争はますます残忍になっていく。人類はここ数世紀、進歩するよりむしろ退化しているように私には思われます。




若きジャン・ギャバンがとてもセクシー
で、作品に色を添えていました。
(↑こういう表現するのかな~^^)