今頃、映画「続激突・カージャック」を鑑賞する!

今頃、映画「続激突・カージャック」を鑑賞する!




1974年 アメリ

この映画は、S.スピルバーグ監督の初の劇場作品です。「続激突」とありますが、「激突」と言う映画の、続編ではありません。映画「激突」(1971年)は、スピルバーグがTV用に監督した作品ですが、評判がよかったので、日本とヨーロッパでは、劇場公開されました。二匹目のどじょうを狙って、こういう邦題をつけたのでしょうが、全くひどい話ですね。
因みに、原題はThe Sugarland Express。
年寄りの繰り言で、「昔は良かった」と言う落ちをつけようと、この映画を観始めました。私は、E.T.(1982年)あたりまでの、この監督の作品が好きなのであります。



ストーリは至って簡単で、前科者の夫婦が、福祉局によって里子へ出された子供を奪還するため、パトカーをカージャックして共にシュガーランドへ、と言う展開です。実話をもとにしているそうです。ストックホルム症候群というのですか、最初は敵対的だった夫婦と捕虜になる巡査との間に情が芽生え、追跡を先導する警部までもが夫婦へ微妙な感情を抱き始めます。
実際にこんなことが起きたのかと疑問に感じるパトカーの大行列や、野次馬の人だかりは見ものです。ゴールディ・ホーンは、相変わらずチャーミングであります。




ただ、これはスピルバーグ監督の弱点だろうと思うのですが、人間観察が甘いような気がする。出てくる人々が、皆いい人なんですよ。(笑)
「母性」を標榜すれば、何でも許されるのでしょうか?
赤ん坊は、天使なんでしょうか?
「カラー・パープル」(1985年)を観て感じた私の不満が、ここでも再燃いたしました。もう少し、人間性ダークサイド
に目を向けてもいいのではないのか
と。この監督が万人受けするのは、そういう楽天的な視点で映画を作るからでしょうが、「インディ・ジョーンズ」ならいいでしょうが、こういう実話になると、何とも物足らない気が、私にはするのでありました。