パン屋の歌

パン屋の歌



何度も書くようですが、私はしばしば、他人さまから、
「どうして、大学に行かなかったのか?」と聞かれます。
心の底では「どうして、大学に行かないといけないのか?」と問い返したくなるのですが、自分なりにその理由を考えてみるに、所謂有名大学を出た人が、私にはあんまり偉く思えなかったからだと思う。
前にも書きましたが、私の義理の叔父は京都大学の教授でしたが、自分の専門分野以外のことは何も知らない「学者バカ」でした。40歳を過ぎて、自動車の教習所に通って、教官に怒られるのが怖いと、奥さん(つまり私の叔母)に泣きつくような人でした。そのくせ、プライドは高い。人をすぐに見下す。「あんな大人にはなりたくない。」と子供心に思ったのでしょうね。

30歳くらいの時に、私は夜間の予備校に通っていたのですが、そこに京都大学出身の英語の先生がおりました。その人は自分がその予備校で一番偉いと思っていたらしいのですが、私が彼に全く尊敬の仕草を見せないのが、気に入らなかったらしい。
当時、私はパン工場で働いておりました。それを、その先生はどこかで聞きつけたのでしょうね、授業中に、

「パン屋の歌ってあるけど。パン屋~ パン屋~」

と大きな声で歌いました。
この人はなんて卑しい人間だろうかと、心の中で軽蔑しました。

高学歴の人間が、すべて駄目だというのは、明らかに偏見です。学歴のない人間の嫉妬でしょう。しかし、前にも書きましたが、実力のない人ほど、学歴信仰が強いようですね。これは、ちょうど、アメリカなんかで、実力のない白人ほど人種差別意識が強いのと似ております。

この歳になって、大学なんて行かなくて良かったと思っております。