やっと、小説「コンビニ人間」を読む

やっと、小説「コンビニ人間」を読む




長いお付き合いのブロ友さんのおじゃま犬さんのお勧めの小説でした。
特に、私に向いているとか書いておられたので、現代小説を読まない私も、ネットで注文して読んでみることにしました。でも、何だかじっくり読書する心の余裕がなくて、やっと今日読み終わった処であります。

この小説で書かれている、日本
の社会(だけじゃないかもしれませんが)における強い同調圧力は、私自身がたいへん悩んできたところのものであります。主人公の気持ちが私には非常によく判る。この小説は、芥川賞を貰ったそうですが、選考委員の村上龍がこの小説を絶賛したのだそうな。彼(村上龍)のエッセイでも、彼も「皆が同じ」であることを強制する日本社会に強い違和感を感じていると常々書いておりました。

厳密に言いますと、この小説の主人公古倉さんは、精神病ではありません。自分が人と違うという事への強い自覚があるからです。(病識がある。) 精神病の人なら、自分が人と違う事、常識が判らないこと自体に気付かない。(私の母親が、まさにそれでした。)大体、精神病ならば、コンビニでも働くことはできないでしょう。
だから、この小説は、精神障害の物語と言うより、「個性」を持つことを許されない現代人のお話としてとらえるべきでしょうね。所謂「常識人」が「変な人」に向ける警戒心や、差別意識の描写には、身につまされるものがありました。

ただ、私の場合、歳をとると居直ってしまったんですよね~ 人に迷惑を掛けずに、生きていければそれでいいじゃないか?あなた、「世間様」なんて、見たことがありますか?
この小説の結末には、私も共感いたしました。「コンビニ人間」で何が悪い!

大変力量のある作家で、奥の深い小説だと思いましたので、改めて再読したいと思っております。