ドナルド・キーンさん死去

ドナルド・キーンさん死去




多くの方が書いておられるように、私もこの方の著作のお陰で日本文学を知りました。谷崎潤一郎だとか、川端康成三島由紀夫安部公房といった近代日本文学の雄と交際のあった人なんて、もうほとんど生き残っていないだろうから、残念な話です。

第二次世界世界大戦後、日本文学の研究を志した時には、周りの人間から(確か)「ミミズの研究」をしているかのように、異端視されたのだそうな。敗戦の影響もあったのか、海外では当時は「日本文化は真似事」と軽んじる風潮が強くあって、講演で日本文化の紹介をすると、必ず中国人が「日本文学は、中国文学の模倣に過ぎないのではないのか?」と質問されたという。「それなら、ヨーロッパ文学は、エジプト文学の模倣だ。」と言い返したそうだが。
自身も、当時の著名な文学者と親交を深められたのも、日本文学を研究する外国人が少なかったからだと正直に告白しておりました。




なかでも、三島由紀夫とは仲が良かったらしいですが、その衝撃的な死に接して、「国粋主義者ノーベル文学賞を貰いたかったなんて、理解できない。」と漏らしておりました。(←そりゃそうだ。)

知り合いの方の情報によると、この方、同性愛者でした。(こういう事を書いても、死者を貶めることにはならないと思います。)日本文学に親近感を持ったのも、同性愛に寛容な社会風土のせいかもしれませんね。

合掌