「乱」 その2

「乱」 その2




この映画の圧巻は、

何と言っても映画の中番、父親(秀虎)が、息子たちに裏切られて、

城を攻め滅ぼされるシーンにあります。



















私は、この映画を何回も観ていますが、

ここは、涙なくしては見られない。

武満徹の素晴らしい音楽だけで、効果音を一切いれず、

戦争による死者に焦点を当てて行くこのシークエンスは、

世界映画史に残る名場面でしょう。


Wikipediaによると、S.スピルバーグの『プライベート ライアン』のノルマンディ上陸作戦の阿鼻叫喚は、

このシーンに触発されて作られたそうです。。。







と、ここまで書いたのですが、

何故が、筆が進みません。

よく考えてみれば、この映画、

リア王」と言う誰でも知っている話を翻案しているので、

取り立てて書く事もないのかもしれません。

例によって、晩年の黒沢映画の特徴として、

映像が恐ろしく美しいので、

写真をUPしておきます。




↑セットの素晴らしさは、群を抜きます。




↑女は戦争を望まない?




隆大介は、相変わらずの好演でした。




↑この映画で初めて、黒澤は人間の顔を描いたと評した評論家もいました。

仲代達矢の、例によって大げさな演技も、この映画には合っています。


最後にこの映画にまつわるエピソードを少し。

①この映画を作っている時から、頻繁に、黒澤氏自身が、

「俺は秀虎だ。」

と言っていたという事。

(従って、自伝的な色彩が強いという事。)

②この映画のスタッフの食費が3億円であった事!

後にも先にも、3億円の食費と言うのは、私は聞いた事がないです。

ウディ・アレンがこの映画に深く感動して、

自らの映画に、彼女とこの映画を見に行くシーンを作った事。

(どの映画だったかは忘れました。)


以上です。


おしまい