「乱」 その2
「乱」 その2
「乱」 その1のつづき
この映画の圧巻は、
何と言っても映画の中番、父親(秀虎)が、息子たちに裏切られて、
城を攻め滅ぼされるシーンにあります。
私は、この映画を何回も観ていますが、
ここは、涙なくしては見られない。
武満徹の素晴らしい音楽だけで、効果音を一切いれず、
戦争による死者に焦点を当てて行くこのシークエンスは、
世界映画史に残る名場面でしょう。
このシーンに触発されて作られたそうです。。。
と、ここまで書いたのですが、
何故が、筆が進みません。
よく考えてみれば、この映画、
「リア王」と言う誰でも知っている話を翻案しているので、
取り立てて書く事もないのかもしれません。
例によって、晩年の黒沢映画の特徴として、
映像が恐ろしく美しいので、
写真をUPしておきます。
↑セットの素晴らしさは、群を抜きます。
↑女は戦争を望まない?
↑隆大介は、相変わらずの好演でした。
↑この映画で初めて、黒澤は人間の顔を描いたと評した評論家もいました。
仲代達矢の、例によって大げさな演技も、この映画には合っています。
最後にこの映画にまつわるエピソードを少し。
①この映画を作っている時から、頻繁に、黒澤氏自身が、
「俺は秀虎だ。」 |
と言っていたという事。
(従って、自伝的な色彩が強いという事。)
②この映画のスタッフの食費が3億円であった事!
後にも先にも、3億円の食費と言うのは、私は聞いた事がないです。
③ウディ・アレンがこの映画に深く感動して、
自らの映画に、彼女とこの映画を見に行くシーンを作った事。
(どの映画だったかは忘れました。)
以上です。
おしまい |