「用心棒」
あらすじ(Wikipediaより)
「用心棒」は天の川であると、言った作家がいたが、
この映画ほど、登場人物の一人一人が、よく描けていて、
所々に、面白い仕掛けがあって、何度見ても見飽きない映画はないと思います。
Wikipediaにも無視されている人物だが、再評価されてしかるべです!)
黒澤氏本人の弁
僕は長いこと、しんそこからおもしろい映画を作ろうと思っていたが、「用心棒」はそれを具体化したものです。この話はおもしろいことこの上なしなんだが、それだけに、今まで誰もこんなアイディアを思いついたことがないのは驚きだね。要するに二股かけてうまく行った男の話だけど、その二股かけられたほうは両側とも悪い奴らだってのがミソなのさ。何の話かわかるだろう?僕らは弱い存在だから、両悪の真ん中に挟まれっぱなしで、どっちかを選ぶなんてできない相談さ。僕は昔からいつも、悪対悪なんて馬鹿げた戦争は何とかしてやめさせなきゃいかんと思って来たが、実際には僕らは弱くて話にならんわけよ。僕だってうまく行ったことなんかありゃしない。そこが、僕らと、この映画の主人公と違うところだ。この男なら正々堂々とど真ん中に立って、戦争を止めさせることができるんだ。僕が最初に考えついたのはこいつの事で、それがこの映画のそもそものの始まりなんです。(ドナルド・リチー著『黒澤明の映画』より)
この映画が、米ソの冷戦構造を揶揄したものであることは、
公開当時から話題になっていたらしいです。
でも、今の若い人に、冷戦構造なんて言っても、わからないかもしれませんね。
映画の冒頭、あまりにも有名なショッキングなシーン。
この映画には、総じてこのような残酷シーンが多く、
映画は大ヒットしたにもかかわらず、
黒澤氏本人は、これを深く反省し、
事実上の続編といも言える「椿三十郎」(1962年)では、
入江たか子演じる奥様が、三十郎のすぐ人を斬る癖をたしなめるエピソードを入れたのは、
前述したとおりです。
↑山田五十鈴演じる、強欲な女郎屋のカミさん。
こういう役を演じられる女優が、今の日本にいるでしょうか?
この映画が、海外に与えた影響は測り知れません。
それについては、次回で。