「ダンス・ダンス・ダンス」
「ダンス・ダンス・ダンス」
「私の小説は、村上春樹のように売れませんから。。。」と、
ノーベル賞の賞金を喜んでいましたが、
確かに、村上春樹の小説は面白い。よく売れるでしょう。
村上春樹にはまっているなんて、○○○みたいで嫌なんですが、
「ダンス・ダンス・ダンス」を読み終わると、すぐに、
「ねじまき鳥クロニクル」を買ってしまいました。
で、「ダンス・ダンス・ダンス」の感想。
この作品の前編に当たる「羊をめぐる冒険」は、
かなり以前に読んだので、内容を忘れてしまいました。
でも、そんなこと関係なしに、楽しめました。
「海辺のカフカ」程感動はしませんでしたが、物語の語り口はやはり天下一品です。
本が出版されてたのは1988年で、まさにバブル経済の絶頂期。
デュラン・デュランとか、カルチャー クラブとか、
トーキング ヘッズとか「E.T.」とか、
出てくる小道具が懐かしい。
(こういうのを知らない若い人は、どういうふうに読むんでしょうか?)
この頃の村上春樹には、高度に発達した資本主義への批判が強いそうですが、
つまりは何でもお金で買えることへの批判と云う事?
ホテルのフロントの女の子に恋をするし、コールガールも買う。
特殊な感受性を持つこのユキと云う女の子は、大変チャーミングでした。
「馬鹿みたい。」(彼女の口癖)
何をしても、そつがなく、かっこ良く、
皆に愛される人気俳優が内面に抱えた巨大な空虚。
これは、アルコールばかり飲んで死んでしまった石原裕次郎を連想させました。
こういう話は、リアリティがあります。
ただ、物語の途中で殺されてしまう二十歳のコールガールがいて、
情事の後に、朝、「かっこう」と鳴く事が、物語のカギとして再三出てきましたが、
これって、大変下品じゃないですか?
コールガールは、コールガール。
ストッキングで首を絞められて当然でしょう。
それと、批判の対象になっている高度に発達した資本主義が、
現在日本においては急速に衰退に向かっているので、
お話が少し色褪せて見えたのも、否めませんでした。
でも、全体としていい小説であった事は、間違いありません。
若い人の感想を訊いてみたいですね。
■二行でわかる「ダンス・ダンス・ダンス」
「馬鹿みたい。」
「やれやれ。」