今頃、「This Is It」を鑑賞する

今頃、「This Is It」を鑑賞する


 
その突然の死と、本来ならステージで公開されるパフォーマンスの練習風景を記録編集したこの映画の大成功で、
死後、大変話題になったマイケル・ジャクソンです。
公開する方のやり方があざといと言うか、
ブルーレイもDVDも販売しかしていなかったので、
買ってまで観るほどのものではないと今まで私は観ずにいました。
しかし、他の方のブログなどでは、皆さん大絶賛で、
(生前のスキャンダル報道はどうなったんだろうと私は白けていたんですが、)
そんなに凄いのなら観てみようと、レンタル開始にになったので借りてきました。
 
何度も書くように、私は音痴で音楽のセンスがない。
でも、マイケル・ジャクソンの音楽が、
たとえばビートルズのそれほどではないという位は、よくわかります。
それに、大体あの成金趣味の服装についていけない。
でも、私はやはりこの人は、「天才」と呼べる人だったんだと思います。
「天才とはスキャンダルを起こせる人だ.。」とかなんとか、
芥川龍之介が書いていましたが、
生前のいろいろなスキャンダル報道も
一代で大成功を収めた有色人種への嫉妬だったと、
私は思っています。
(その辺の経緯は、スコセッシが監督した「BAD」を観ればよくわかりますよね。)
人種差別が激しく、音楽で芽がでいなかったら一生貧しい生活を余儀なくされていただろうアメリカの黒人が、
ここまで来たのだから、やはり「快挙」というべきでしょう。
生ぬるい日本のタテ社会とは、世界が違うと私は思います。
一方では有色人種の人の中に、彼を英雄視する人が多いのも肯けます。
 
しかし、今回ブルーレイで観た彼の素顔は、
美容整形の失敗があまりに痛々しく、観るに堪えないものでした。
光の当たり具合によっては、彼の顔が失礼ながら化け物のように見えます。
これは、映画の製作者もよくわかっているようで、
主演者であるにもかかわらず顔のアップが殆どありません。
元側近者の書いた暴露本によると、
「白人になりたい!」というのが彼の本音だったらしいです。
少年愛疑惑といい、不自然に白くなっていく肌の色といい、
(後記:肌が白くなったのは、皮膚病だったそうです。)
精神分析的に見れば、厳しい練習に明け暮れた少年時代のトラウマと、
取れないこともないですね。
大金持ちになった人であるにもかかわらず、
何か物悲しいものを私は感じました。

で、肝心の音楽の方ですが、若いころの彼を知っている世代からすると、
格別目新しいものは感じませんでした。
看板の「スリラー」も、とてもジョン・ランディスの元祖のものには及びません。
おそらくこの映画を観て彼に夢中になった人は、
全盛期の彼を知らない若い人だったのではないのでしょうかね?

私のブロ友さんは、皆さん音楽に造詣が深いので、
もし観られたのなら、感想をお聞かせください。

おまけ:
黒澤明もそうでしたが、最近の芸術家は成功を収めると、
何故か環境保護を訴える傾向があります。
自分の専門分野以外のことに首を突っ込むのはいかがなものか?と、
私は思います。

もひとつおまけ:

 
例えば、その悲劇的な死と、
グレートマザー


オノ・ヨーコと結婚したことによって、
日本ではとかく神格化されがちなジョン・レノンにしてからが、
イギリスの支配階級の人々から見れば、
「労働者階級のあんちゃん」としか、評価されていないのではないのか?
そういう視点がわからないと、
欧米のポップミュージックは理解できないのではないのではないか?
と思ってしまう猫さん
でした。
(階級間の断絶は、私たちには理解できないものだと思う。。。)