不本意な名声

不本意な名声


 
 
 
の新作映画が公開されたという事で、
この話題を取り上げるブロガーさんが結構いらっしゃる。
私は、ロバート・ダウニー・Jrがホームズを演じるこのシリーズ、
正直のところあまり好きではないんですが、
原作者のコナン・ドイル(1859~1930)について触れられている方もおられたので、
ふと思い出したことを書かせていただきます。
 

ご存知の方も多いと思いますが、
今尚、世界的な人気を博するシャーロック・ホームズなる人物を創造したこの方は、
あんまり、このシリーズを続けけることに熱心ではなかったのだそうです。
本来は、流行らないやぶ医者だったのが、
ひょんなことから書いたホームズ物が成功し、
絶大な人気を得たのですが、
 
「僕はホームズの殺害を考えている……そして彼を永久に消してしまいたい。ホームズは僕の心をよりよいものから取り払ってしまった。
 
 
 
とその手紙に書いたように、
ドイル自身は自らの歴史小説やSF物のほうに価値を感じ、
一度は「最後の事件」でホームズを殺して
シリーズを打ち切りろうとした事もあるぐらいです。
21世紀になっても、これだけの人気を維持しているなんて、
本人が知ったらさぞかし驚くことでしょうね。
でも、こういった例は、歴史をひも解いてみると枚挙にいとまがありません。
私のいま思いつくまま、数例を挙げてみます。

1.レフ・トルストイ(1828~1910)
 

言わずと知れた、
という途方もない小説を書いた、
おそらく世界最高の小説家
しかし、私の読んだ伝記によると、
本人にとって
小説を書くという事は余技だったそうな。
莫大な資産を持つ貴族に生まれた彼は、
自分の天職は社会を改革することにあると信じ、
そのためには、すべてを顧みなかった。
でも、所謂世間知らずのお坊ちゃんに
「社会改革」などできるはずはなく、
周りの者は大変迷惑したそうです。
 
 
2.石川啄木(1886~1912)
 

 
 短歌集「一握の砂」「悲しき玩具」は、
日本近代短歌史上一番愛されている歌集ですが、
本人は、
小説家として後世に名を残したいと熱望していました。
「短歌は私の悲しき玩具である。」という
死後発表の文章より、
第二短歌集は「悲しき玩具」と命名されました。
 彼が、もう少し思慮分別のある人間だったら、
ああいった悲しい最期を迎えなったでしょうが。
私たちが彼の短歌に触れることもなかったでしょうね。
 
 
 
 
 
 

「ミスター・スポック」という人物は、
アメリカ大衆文化が生み出した
白眉のキャラクターだと私は思うんですが、
この人に限らずスター・トレック(「宇宙大作戦」)のクルーの皆さんは、
あまりにもこの伝説のTV番組の印象が強くて、
その後、俳優として生活していけない人が多かった。
レナード・ニモイも、=「ミスター・スポック」となってしまう事に、
若い頃はひどく反抗したようです。
一生芽が出ない俳優さんがたくさんいる中で、
ある意味贅沢な悩みといえないこともないのでしょうが、
大変知的な方だけに、
その悩みは深刻だったんでしょう。



他にも、たくさん事例があると思います。
博学なブロ友さん、教えてくださいませ。