映画「東京暮色」(1957年)
映画「東京暮色」(1957年)
映画を観はじめると、
小津映画のいつものように平凡なエリートサラリーマン家庭があって、
登場人物に結婚前の若い美女(有馬稲子)がいて、
お母さんがいなくて、
お父さん役が笠智衆だったので、
と思ってしまいましたが、これがとんでもない間違い。
話は、思わぬ方向に展開致します。
詳しいストーリーは見てのお楽しみで省略いたしますが、
小津映画にしては珍しく劇的な幕切れをみせるこの映画、
なんとジェームズ・ディーンの『エデンの東』(1955年)の
でも、話は全然似ているようには思えませんでした。
小津映画は、美女のPVだと思えばいいのかもしれませんね。
私は結構気に入ったんですが、
世評では失敗作の評価を与えられているようです。
(キネマ旬報日本映画ランキングで19位)
思うに、妊娠中絶という日本ではきわめてタブーの問題を正面から描いたのが、
いけなかったのかもしれません。
有馬稲子というと、おばさんになられてからのイメージしか知らなかったので、
このきれいな御嬢さんを拝見するだけでも、
小津安二郎最後の白黒映画だそうな。