映画「狼たちの午後」を鑑賞する!

映画「狼たちの午後」を鑑賞する!

(1975年 アメリカ)
 
 

 
 
ゴッドファーザー PART2」を観たので、
この映画に出ているアル・パチーノジョン・カザールの競演した、
狼たちの午後シドニー・ルメット監督)を、再見してみることにしました。
ジョン・カザールって、知らない人が多いでしょうが、
私のこの方への偏愛は、以前記事に致しましたので、
ここをご覧になってください。
その早逝が惜しまれますが、
アメリカを代表する隠れた名優であることは確かですね

 

 
 
お話自体は、まるで計画性のない銀行強盗を仕掛けた二人が、
当然のことながら、百戦錬磨のFBIの手に係って、
あっさりと失敗してしまうまでの顛末を描いたものです。
実話に基づいております。
極限状態の人間模様を描くところは、黒澤映画を彷彿とさせますが、
なにより、アル・パチーノの演技が真迫で素晴らしい。
何で、この人はもっと早く若い時期に
アカデミー主演男優賞を貰えなかったのかと不思議です。
 

 
 
それに対して、銀行強盗計画には参加するものの、
相変らず憶病でおどおどした共犯者を演じるのがジョン・カザール
私は、演技の経験がないので、あて推量なんですが、
こういう役こそ、実は演技力がいるんでしょう。
メリル・ストリーブが、惚れただけの男です。

 

 
 
人質に取られた女性たちの気丈さは、
どこまで実話からとったものか知りませんが、
女性の芯の強さを感じて、好感が持てました。
それと、銀行に立てこもった犯人たちを英雄視する無責任な野次馬の大衆たち。
人質犯の一挙一動は、逐一マスコミに情報が流れ、
銀行強盗犯は、一躍時の人になります。
暴走族でもない限り、
普通の人間が警察に楯突くなんて想像もできない日本
では、
あり得ないお話しでしょう。
それだけ、国家権力に対する不満が、アメリ国民
に根深いのでしょう。
マスコミの影響力が、
時としては国家権力のそれを上回る今日の社会を予言したのかも知れません。
 
大体、犯人が銀行強盗を思いついたのは、
この男性の配偶者(男性)の性転換手術費を捻出するためだったのですが、
この映画では、
それほど同性愛の問題を深く追及しているようには思えませんでした。
この時代においては、こういった問題を商業映画で取り上げること自体、
冒険だったのでしょうね。

観終わって、後味のいい映画だったとは言えませんが、
アル・パチーノジョン・カザールの二人を堪能するだけで、
観る価値はある映画のようですね。