映画「42 〜世界を変えた男〜」を鑑賞する!

映画「42 〜世界を変えた男〜」を鑑賞する!

2013年 アメリ
 
泣くという事は、いいストレス発散になるそうで、
ダイアナ妃が事故で亡くなったときに、
多くのイギリス人
が泣いて、
お蔭で、心の病気が軽くなった人が沢山居たそうな。
恥ずかしながら、この映画を観ながら、私はずっと泣き続けておりました。
(なんででしょうかね?
 

 
 
 
アメリカ合衆国
において、今日でもまだ人種差別が無くなっていないことは、
メジャーリーグに行った日本人プロ野球選手が小さな声で言っていることですし、
アメリに留学経験のある私の伯父も、よく怒っておりました。
しか~し、
この映画の主人公ジャッキー・ロビンソンが活躍した1940年代頃は、
もっと公然と、人種差別が行われていた時代でありまして、
この映画においても、聞くに堪えない黒人への蔑視発言が、
到る所で登場いたします。
そういう時代に、何を考えたのか、ブルックリン・ドジャース
ゼネラルマネージャー・ブランチ・リッキーと言う変人が、
彼を、ドジャーズの一員として迎える計画を発案する。

 
 
ハリソン・フォードの老け役は初めて観たんですが、結構うまい。
「この映画では、まじめに演技しているよなあ~
と言う実感が致しました。
(どうせ、スター・ウォーズ7」では、また投げやりな演技をするんでしょうね^^)
ただ、
当時としては常識外れとしか思えない彼(ブランチ・リッキー)の行動の動機が、
この映画ではもう一つ判り難かったです。
単なる「客寄せ」だったのか?
 

 
 
 
当然ことながら、ジャッキー・ロビンソンの入団は
球団内外に大きな波紋を巻き起こします。
メジャーリーグも白人だけのものだった時代ですから。
このあたりの描写は、
以前観た「タイタンズを忘れない」(2000年)と似たようなものでしたが、
私が野球が好きなせいか、こちらの映画の方が心に響きました。
相手チームの監督の、
「ニガー!ニガー!」といったような心無いヤジ、挑発に
じっと我慢をする彼の姿は、
おそらく史実に忠実なんでしょうね、涙が止まりませんでした。

 
 
ベンチの裏で怒り狂うジャッキー・ロビンソンを、
ブランチ・リッキーが励まし、戒めます。
こういう時に、必ず持ち出されるのが、イエス・キリストの例ですよね。
 
「イエスは、如何に受難に堪えたか?迫害に負けなかったか?」
 
日本の心理学者河合隼雄とか佐々木孝次とか)は、
日本人は真の父親像を発明していないと言います。
なるほど、受難に堪えて自分の道を切り開いた人物像は、
なかなか日本の歴史からは見つけにくい。
キング牧師の例を待つまでもなく、
アメリの人種差別撤廃運動において、
キリスト教が果たした役割は大きいのでしょう。
 
この後のお話は、
よくあるスポーツ感動ドラマの類型からは出ていない、
格別優れた映画とは思えませんでしたが、
たっぷり泣いた私は、満足して映画を観終わったのでありました。
 

 
 
タイトルの「42」とはロビンソンが付けていた背番号で、現在アメリカの全ての野球チーム(メジャーはもとより、マイナーリーグ独立リーグ、アマチュア野球に至るまで)で永久欠番となっている。
 

「建前」に過ぎないとしても、これは素晴らしい事だと思いました。