映画「うなぎ」を鑑賞する。

映画「うなぎ」を鑑賞する。

1997年 日本

 
あらすじ 男のもとに手紙が届く。それは愛する妻が不倫しているという内容で、事実を知った男は怒りを抑えきれず妻を殺してしまう。
8年後、出所すると同時に、昔自分が飼っていたうなぎを職員から手渡される。男はうなぎと共に、ひっそりと理髪店を始める。次第に町の人との交流も増えていった。
ある日、うなぎの餌を探しに川へ行くと、川原の茂みで倒れている女を発見。女は殺した妻に瓜二つで、戸惑いながらも警察に通報する。女は一命を取り留めた。
後日、女が謝礼に訪れ、男の経営する理髪店で働きたいと言い出す。男はしぶしぶ女を受け入れ、町の住民はそれを歓迎した。しかし、女は何か秘密を隠しているらしく…。
 
今村昌平の映画は楢山節考(1983年)しか観たことがないのですが、
登場人物の演技が大変自然なようで、
決して私の肌に合わない監督さんではないと思います。
初期のころの映画も、時間ができたらゆっくり観てみたい。
この映画と、2作しか見ていないのですが、
あんまり女性の性を美化しない視点は、好きですね。
 
しかし、この「うなぎ」は、
カンヌ映画祭パルム・ドールを貰うほどのモノだったのかは、
私は、大変疑問に思いました。
大体、今の世知辛い日本に、
殺人を犯した前科者をこれだけ温かく迎える人たちがいるのでしょうか
何も知らない外国人が見たら、これはきっと仏教の影響で、
住職さん(常田富士男)の深い人徳がなせる技だと思うやもしれませんが、
私は未だかつて、これほど人格の出来た住職さんなど見たことはありません。
大抵は、金儲けの事ばかり考えている。
これは、京都の寺院巡りをしている時によく実感することです。
 

 
ただ、出所後の主人公(役所広司)の幸福を妬む刑務所仲間(柄本明)の存在は、
とてもリアリティがありましたね。
「弱者」は「弱者」同士でいたわりあうというのは嘘で、
足の引っ張り合いをするのが現実です
この映画で描かれるような嫌がらせは、
私の人生で度々経験してきていることで、
柄本明「か~~っ」と痰を吐く描写がとても巧く感じられました。
 
ほのぼのとさせる映画ではあることは確かなんですが、
この映画に、私はそれほどの深みは感じません。
まるで、フーテンの寅さんの世界のようで、
みんな、どうやって生活してるんだろう?と言う疑問が。。。(笑)