映画「女が階段を上がる時」を鑑賞する!(成瀬巳喜男映画作品)

映画「女が階段を上がる時」を鑑賞する!(成瀬巳喜男映画作品)

1960年 日本
 

 
あらすじ: 夫を亡くした圭子は、外国人マスターが経営する銀座のバー“ライラック”の雇われマダムだった。よく店に来ていた利権屋の美濃部が、かつて圭子の下で働いていたユリに店を持たせ、そちらへ頻繁に出入りしているようだ。マスターからはユリのように体を張って売り上げを回復させろと言われてしまう。ある日、狂言自殺をするつもりだったユリが本当に死亡した。葬儀の席で圭子は美濃部に食ってかかるが、血を吐いて倒れてしまう。酒の飲み過ぎで胃潰瘍にかかっていたのだ。やがて圭子は客に体を許すようになるが、その度に裏切られてしまう。
 
私は、銀座で女遊びなんてしたいと思わない人種なんですが、
どういう因縁か、前の奥さんが、
私と別れた後、祇園でホステスをしていたので、
こういう世界の裏話は、割とよく知っております。
(別に、ヒモだっだ訳ではないんですよ^^;)
脚本は菊島隆三、音楽は黛敏郎、衣装は高峰秀子が担当した
豪華な映画であります。
菊島隆三と言えば、クロサワ映画の脚本家として有名ですが、
この映画は彼のオリジナル作品で、
初プロデュース作品ともなったそうであります。
きっと、銀座で沢山女遊びしたんでしょうね^^
この街で生きる女性の事情がよく描かれていると思いました。
 

 
 
前にも書きましたが、こんな少し汚れた役柄は、けっして原節子では務まらない。
高峰秀子の芸域の広さがよく判る素晴らしい演技でありました。
逆境に追い込まれて、それでもめげずに生きる女性と言う役柄は、
彼女にぴったりです。
成瀬巳喜男映画のお約束事として、ダメ男
が出てまいります。
(今回は、圭子の兄。)
これまた、成瀬映画のお約束事のように、
加東大介が誠実なブ男を演じるのですが、
今回は、意外などんでん返しがありました。
黛敏郎の音楽がお洒落で、
この方は、後年、右翼活動家として有名になってしまいましたが、
元々才能がある人なんですよね。
そうそう、私の嫌いな仲代達矢が好演

彼は、主役を張ると力んで変な演技を致しますが、
この映画のように脇役に回ると、自然ないい芝居をされますね。

 

 
「感動の名作」

ではありませんが、情感溢れた佳作でありました。
まだ、私は生まれていない時代なんですが、
なぜかこの時代の映画にノスタルジーを感じてしまいます。