映画「名もなく貧しく美しく」を鑑賞する

映画「名もなく貧しく美しく」を鑑賞する

1961年 日本
 

 
 
ぐりさんのお勧めだったこの映画、
正直に言うと、観るのを少し躊躇しておりました。
だって、あまりにベタな題名でしょう?
聾唖者をダシにした、お涙頂戴のお話しかと。
しかし、口は悪いが、根はいい人の猫さん
であります。
観始めてから、ずっと涙が止まりませんでした。


まず、なにより、毎度のことながら高峰秀子の演技が秀逸。
原節子には、絶対できない役柄です。

こればっかり。
手話を習得するのに、きっと猛練習をしたのでしょう。
売れっ子だった彼女は、忙しいスケジュールの合間を縫って、
勉強したそうです。
 
例によって、物語の詳細は書きませんが、
(そんなもんは、自分で調べろ!
不幸が続くので自殺を心に決めた秋子高峰秀子)と
それを止めようとする夫(小林桂樹)との、
列車越しの手話での会話は、
日本映画の中でも屈指の名シーンだと私は思います。
 

 

 

 

 
 
劇中で秋子が語る、
 
「世間の人々は、私たちの事を同情はしてくれても、
                   理解はしてくれない。」
 
と言うセリフは、私にとって非常に共感できる言葉でした
最後があまりに悲劇的すぎるのが難点で、
それを指摘するレビューも多く見られましたが、
実話に基づいているそうなので、仕方ないのかもしれませんね。
ともあれ、一見の価値のある映画でした。
五体満足で、生きておられる自分を感謝。