「スターウォーズ」新作への危惧

スターウォーズ」新作への危惧



まだ公開されていない映画について、あれこれ憶測するのも野暮な話ですが、スターウォーズ/最後のジェダイ(2017年12月15日公開予定)の予告編を観るにつれて、スターウォーズサガ」が段々、ジョージ・ルーカスの想定した世界から離れていってしまうのではないか?という思いがふつふつと沸き起こってまいります。
「昔のほうが良かった」というのは、明らかに年寄り

の繰り言でして、新しいスターウォーズの世界が展開されるのなら、それはそれでいいとは思うのですが、スターウォーズの魅力である宗教・神話の隠し味がどんどん薄れていくような気が私にはします。(「フォースの覚醒」(2015年)には、全くそれが感じられなかった。)
ジョージ・ルーカスが、若い頃に文化人類学の勉強をし、有名な神話学者であるジョーゼフ・キャンベルに私淑していた事はつとに知られておりますが、スターウォーズの大成功で大金持ちになった後も、自宅に大学教授を招いて、神話や宗教の講義を受けるのが趣味だったらしい。



ジョーゼフ・キャンベル(1904~1987)

そのジョーゼフ・キャンベルの考え方に大きな影響を与えたのがかの有名な心理学者ユング先生でありまして、スターウォーズがこれだけ世界的にヒットしたのも、C.G.ユングの提唱する人類の持つ普遍的無意識に働きかけることが大きかったからではないか?という話は、前にこのブログでも書きました。

正直に言いますと、スターウォーズの1部から6部までの映画としての出来は、それほど上等だとはいいがたい。俳優の演技は薄っぺらだし、映画監督としてのジョージ・ルーカスを評価する人は殆どいないと思う。ただ、私が思うには、彼は物語を展開することに興味があっただけで、あんまり「名作」を作るつもりはなかったのではないか?(笑)
俳優をキャスティングする際にも、演技力よりも外見(例えば、若き日のオビワン=ケノビは、アレック・ギネスに似ているかどうか?)で選んだふしが有ります。











































でも、新作「フォースの覚醒」においては、明らかにそうではありませんね。演技力に重点を置いている。
























「親子」という設定なのに、全然顔が似ていない


なるほど、その方が映画としての深みは増すでしょうが、そうなってくるともうこれは、単なる高予算のSF映画に過ぎなくなってくるのであります。

「昔は良かった」とは、やはり言いたくはないのです。新作に期待したい。
でも、神話的、宗教的、黒澤的味付けのない「スターウォーズ」は「スターウォーズ」ではない
私はそう断言致します。

 

その点、「ローグワン」は、名作でしたね~ 
見事にジョージ・ルーカスの世界を継承しておりました。