今頃、映画「ポセイドン・アドベンチャー」を鑑賞する!

今頃、映画「ポセイドン・アドベンチャー」を鑑賞する!

1972年 アメリ




晦日の夜、パーティで賑わう豪華客船ポセイドン号を海底地震によって突然発生した大津波が襲った。一瞬の内に船は転覆。生き延びた人々は生存を賭けて、天地が逆転した船内からの脱出に挑む。転覆時のスペクタクルはもちろん、オールスター・キャストによる人間ドラマも見応え充分で、アメリカン・ニュー・シネマ全盛の公開当時、ハリウッド・エンタテインメントの真髄を見せた。70年代半ばに起きたパニック映画(ディザスター・ムービー)ブームの先駆けでもある。

友人との”懐かしの映画鑑賞会"第2弾です。おそらく、観たのは30年位前なので、話は知っているけどディテールは忘れてしまった映画でした。



改めて観てみると、思いのほか宗教的な映画だなあと感じました。勿論、この映画の牧師(ジーン・ハックマンが説く「神は弱きものは救わない」「神は一人ひとりの面倒を見ている暇はない。人間は自ら努力して苦しみを解決しなければならない」という教えは、キリスト教でも極めて異端なものでしょうが、もともと一神教には、こういう選民思想の側面があるのではないか? 我が国には、誰でも「南無阿弥陀仏」と唱えさえすれば極楽浄土に行けるというのんきな宗教がありますが、西洋文明を知るうえで、こういう彼我の宗教観の差を認識しておかないといけないのではないか?と私は思います。



神は「選ばれし人」しか救わないのであります。「迷える子羊」を導くスコット牧師は、旧約聖書のエジプト脱出を試みるモーゼにも見えます。師の教えに従ったものだけが、天国(すなわち地上)にたどり着ける。



登場人物の一人一人が良く描かれていて、単純な話ながら最後まで飽きさせない展開でした。CGなんてない時代に、ド迫力の特殊撮影。




上岡龍太郎が、かつてこの映画をTVで絶賛していたことを思い出します。Wikipediaのよると、淀川長治さんは 「私はこの映画を見るために生まれてきたといってもいいんですね」 と、宣うたのだそうな。映画としては、特別優れた部類には値しないとは思いますが、多くの人を惹きつけてきた映画です。
全編に漲る「天は自ら助くる者を助く」という哲学に説得力があるからでしょうね。
一見に値します。