女性は、本当に抑圧されているのか?

女性は、本当に抑圧されているのか?


私のブログの読者は、私の知性を反映してか(笑)インテリの方が多く、
フェミニズムの信奉者が多いようです。
しかし、私は、実際に日本の社会で数十年生きてみると、
海外から輸入された思想が、
日本の社会では当てはまらないことが多いのに気付いてきました。
私が河合隼雄という心理療法家の発言をよく引き合いに出すのも、
この方がスイスから持ち帰った西欧の心理療法が、
日本ではそのままでは神経症などの治療に効果がでず、
輸入思想ではない独自の療法・理論を作る必要があったからです。
従って、日本の社会の特異性に早くから重要な考察を残されておられます。
 
またお一人、かなり以前に本屋で見つけた山下悦子という人の、
「マザコン男がブンガクしている―父になれないこんな事情」というきわめて挑発的な題名の本を読んだときにも、
今まで感じていた疑問が一度に氷解したような爽快感を味わいました。
この方によると、日本は双方社会なのだそうです。
少し長くなりますが、以下に引用いたします。
 
(私のブログは引用が多いと非難される方もおられると思いますが、タイピングするのも結構面倒なのです。その苦労を斟酌して、以下の文章を読んでやってくださいね。
 

双方社会などというとなんだかいかめしいが、この言葉は、実は私たちが日ごろ、感じている日本の家族のあり方を考えるうえで、大変重要な秘密をひそませている。たとえば、私たちが日本の家族の特徴としてあげるとするなら次のような点があるだろう。
 
1.母と子が一体化している。息子はマザコンになりやすい。最近は娘も母親と一卵性双生児になりつつあるとか。夫婦中心ではなくて親子中心の家族が多い。
2.父は会社に母は家事、育児、パートにとそれぞれ男女の役割分担がきっちりしている。
3.会社にいる時間の長いあるいは単身赴任の父は、家族では存在感がうすく、「亭主達者で留守がいい」という言葉もいまだ健在である。
4.夫は妻の対等なパートナーというより、大きな息子である、妻は母親のごとく、夫の身の回りの世話をする。亭主関白とは別名、なにもできない男のことをいう。
5.嫁姑間の愛憎劇が広くみられる。
6.妻=母の主婦権が強く、八割以上の家族で財布のひもはしっかり妻が握っている。
7.シンルイづきあいも妻=母方との関係がどちらかというと頻繁。子供の幼少の頃はとくに妻の実家の意義は大きくなる。
8.父と母と子の関係がかもしだす西欧的なエディプスの三角形の図式が、父役割が希薄なため、成り立ちにくい。母と大きな息子である父と子供たちの作り出す家族関係が日本では一般的。
9.男の浮気は甲斐性という言葉があるように、夫の婚姻外交渉は多く、貞操観念はうすい場合が少なくない。世間も夫の浮気には寛容だが、妻の浮気は離婚の対象となるなど厳しいのが一般的。これは、双系社会における婚姻関係の伝統と関係しており、多夫多妻的な婚姻が次第に一夫多妻的となり妾制度は古代からみられた。明治時代には廃止されたものの、一夫多妻制的婚姻は慣習として残存した。
 
 フェミニストがよく声高に叫ぶ、家父長制的抑圧からの解放とか家父長的家族制批判とか男は敵といったテーゼが、普通に生きている女性たちに今ひとつピンとこないのは、上にあげた日本の家族のあり方と関連している。キリスト教的な西欧の家族では、父権=夫権が強く、父の存在には重量感があるし、古代中国においても父子の人格的一体性がみられるなど父、息子の絆が強いといわれている。西欧では家長制といえば、古代ローマに見られた専制的、絶対的な家長=男による奴隷および妻子に対する生殺与奪権をさし、父=夫=主人は奴隷支配権、所有権をもつ強大な存在だった。中国は強い宗族の族長権のもとにあり、家長権自体の権限は弱いが、しかし、家父長権は存在していた。
 しかし、日本の場合は、伝統的に母親の親権が強く、母子一体感がみられる。中世に成立したといわれる日本古来の「家」では、主婦権が自律しており、主婦は北の方と呼ばれた。場所的も主婦のすわる嬶座(かかざ)は北座と呼ばれ、別名上座(かみざ)といわれたのであった。
 主婦は、家計管理、酒蔵の管理などのほか、生命を産み、育てるとともに上の世代の死をみとるといった大きな役割を果たしていた。父権=夫権は未確立であり、父親が家庭内での役割(父性のしつけ、家計管理)をもたないため、父親不在の母子一体的な家族になりやすい等々が特徴であった。
(「マザコン男がブンガクしている」山下悦子著より)色字は猫さん
 

 
いちいちご尤もな説だと私は思います。
日本ほど、「母の愛」を美化する文化は(韓国が少し似ているようですが)ないのじゃないですか
西欧的な文脈で「女性は弱者だ、被害者だ」とかなんとかいわれても、
私にはピンと来ないのですが、ねえ。。。